CLEANOA · ラグのお手入れガイド
花柄のラグに黄色や茶色の跡を見つけると、つい洗剤をつけてゴシゴシ落としたくなります。けれど、まずしたいのは、素材を確かめ、汚れを広げずに今の状態を残すことです。今回は、当店で丸洗いした大判のウール絨毯をご紹介します。実際の洗浄写真とともに、ご自宅での応急処置と、職人に任せていただきたい手入れの違いをお伝えします。
柄に紛れていたシミは「場所」と「広がり」で見る

写真のラグには、細かな枝や花をまたぐように黄褐色の跡が点在しています。模様の一部と重なるため、遠くから見た印象と、近くで見た状態に差が出やすい一枚です。見つけたときは、一か所だけでなく、周囲や縁にも似た跡がないかを確認しましょう。
シミを相談するときに役立つのは、単に「黄色い汚れです」と伝えることより、「中央から縁にかけて点々とある」「一か所にまとまっている」と位置や範囲を伝えることです。原因が分からない場合も、そのままで構いません。
当店では、シミの色だけで処理方法を決めません。付着したものや経過時間、ご自宅で使った洗剤を伺い、毛足や色柄の状態とあわせて判断します。原因が分からなくても大丈夫です。薬剤を重ねる前に、今の状態をお見せください。
こぼした直後は、こすらず吸い取る
液体をこぼしたばかりなら、まず清潔な白い布や吸水性のある紙をそっと当て、液体を吸い取ります。布のきれいな面へ替えながら、外側から内側へ。横へこすると汚れを広げたり、毛足を乱したりしやすいため、押し当てて移すイメージで扱ってください。
固形物がある場合は、毛足へ押し込まないよう、スプーンなどで上から静かに取り除きます。汚れた場所をブラシで強くこする、熱風を当てる、大量の水を注ぐ、といった処理を始める前に、素材と取扱表示を確認しましょう。
すでに乾いているシミや、原因が分からない跡は、無理に濡らし直さず相談する方が判断しやすくなります。市販の漂白剤や用途の合わない洗剤を使うと、汚れの跡に加えて色や風合いの変化が残ることがあります。家庭で何か使った場合は、商品名とおおよその使用量もお伝えください。
見た目が似ていても、素材表示を先に確認する

今回お預かりしたのは、毛100%・ベルギー製・200×290cmの大判ラグです。素材と寸法は裏面の表示ラベルで確認しました。ペルシャ絨毯を思わせる花柄でも、見た目だけで産地や素材は決まりません。まず裏面のラベルにある素材名と、お手入れの注意事項を確認します。
また、「毛100%」という表示だけで、家庭の洗濯機で洗えるという意味にはなりません。絨毯には毛足を支える土台や端の仕上げがあり、洗えるかどうかは製品全体として考える必要があります。表示が読めない、ラベルがなくなっているときは、その状態で写真をご相談ください。
ラグを裏返す際は、家具を無理に持ち上げたり、大きな一枚を一人で引っ張ったりせず、見られる範囲からで十分です。ほつれや傷んだ部分があれば、そこを強く引かずに撮影します。
相談写真は「全体・近接・裏面」の3方向
全体写真は、シミがどの位置にあり、どのくらい広がっているかを伝えるためのもの。気になる部分だけを拡大すると、一枚のどこにあるか分からなくなるため、まず全景を撮ります。家具で隠れる場合は、見える範囲と隠れている場所をお知らせください。
近接写真では、シミの輪郭に加えて周りの正常な部分も入れると比較しやすくなります。明るさや色を強調するフィルターは使わず、日中の自然な明かりなど、色が分かりやすい条件で撮影してください。撮影のためにブラシで毛をこする必要はありません。
最後に裏面と、残っていれば素材表示を撮ります。表からは分かりにくい土台や縁の状態が、作業を考える材料になります。これに「いつ気づいたか」「思い当たる原因」「自分で試したこと」「特に改善したい点」を添えると、相談が進みやすくなります。
部分のシミ抜きと、ラグ全体の丸洗いはどう違う?

シミ抜きは気になる跡へ集中的に対応する作業、丸洗いはラグ一枚全体の汚れを洗い流す作業です。当店では、シミの部分だけでなく、周囲のくすみや毛足、縁の状態まで見て、必要な手入れを組み立てます。目立つ一か所だけでなく、普段気になっている汚れもまとめてお知らせください。
当店では、このラグを専用の洗い場に広げ、一枚全体を泡で丁寧に洗浄しました。洗い上げたあとは水を流し、浮き上がった汚れと洗浄剤を泡や水とともに外へ送り出します。汚れや洗剤が残らないよう、流れ出る水がきれいになるまで、丁寧にすすぎを重ねます。
丸洗いとシミ抜きは役割が異なるため、全体洗浄だけでは残る跡には、素材と色柄に合わせて個別の対応を考えます。追加のシミ処理が必要な場合は、作業内容と費用をご案内します。「この跡を特にきれいにしたい」というご希望も、遠慮なくお伝えください。
大判ラグは「洗える場所」より、その後まで考える

200×290cmの表示寸法は、約5.8㎡です。水を含むと重くなり、浴室に入ったとしても、広げたまますすぐ場所や、十分に乾かせる場所を確保するのは簡単ではありません。持ち上げるときの負担、排水、床を濡らさない運び方まで含めて考える必要があります。
当店の丸洗いは、洗って終わりではありません。汚れを含んだ水を外へ送り、丁寧にすすいだあと、乾燥と仕上がりの確認まで行います。大判ラグの洗浄から乾燥まで、設備と作業の両方を整えて対応しています。
仕上がりを見るポイントは、乾いた状態の毛並み、シミの残り方、縁の状態です。濡れているときは色が濃く見えるため、洗浄中の色だけで判断しません。お届け後に気になる部分があれば、その箇所の写真とともに当店へお知らせください。
希望を分けると、お見積りを比べやすくなる
相談では、最優先にしたいことを一つ伝えると、作業の目的を共有しやすくなります。例えば「このシミをできるだけ目立たなくしたい」「全体を洗って普段使いに戻したい」「古い一枚なので風合いを大切にしたい」などです。シミ、臭い、ほつれをすべて「汚れ」とまとめず、分けて伝えてください。
クリノアでは、お見積りページから、写真を見て職人に相談する方法と、その場で概算料金を確認する方法を選べます。素材が分からない、シミが広い、傷みも気になる場合は、写真での相談が役立ちます。料金確認だけで申込みが確定することはありません。
ご自宅での手入れを続けるか、専門店へ依頼するか迷う段階でも、まず今の状態を整理することから始めてみてください。
シミのあるウールラグについて、よくある質問
黄ばんだ部分は漂白すれば白くなりますか?
元の地色、模様、繊維の状態がそれぞれ異なります。家庭用漂白剤で一律に白く戻す考え方はおすすめできません。原因が分からない場合は、処理前の写真でご相談ください。
買ったお店や使用年数が分からなくても大丈夫?
はい、大丈夫です。全体・気になる部分・裏面の写真とサイズをお送りください。当店で状態を確認し、必要な手入れをご案内します。素材や年数は、分かる範囲でお知らせいただければ十分です。
シミの相談と、房や縁の補修を一緒にできますか?
はい。新品を除き、クリーニングを行ってから修理・補修を承っています。汚れとは別に、ほつれの位置やご希望をお知らせください。房をなくす補修の仕上がりと選び方もご覧いただけます。